厚労省が約10年ぶりに睡眠指針を改訂
厚労省が約10年ぶりに睡眠指針を改訂
年代別の推奨事項を提示
適度な運動やバランスの取れた食事に加え、適切な睡眠時間を確保することは、体やこころの健康のために重要なことです。
しかし、OECD(経済協力開発機構)の2021年調査では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分と各国平均の8時間28分より1時間以上短く、33カ国の中で最も短いという結果でした。
厚生労働省は14年に公表した「健康づくりのための睡眠指針2014」を最新の科学的知見を基に約10年ぶりに改訂し、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」として、このほど公表しました。
今回の改訂では、①成人、②こども、③高齢者の区分で睡眠にかかわる推奨事項を提示した他、ライフステージ別の推奨事項について、一定のエビデンスがある情報や生活指導実施者等の参考となる情報を掲載したのが特徴です。
このうち「成人版」では、
①適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する
②食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める
③睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることも重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する
――ことを推奨。
特に睡眠時間が極端に短いと肥満、高血圧、糖尿病、認知症、うつ病などの発症リスクが高まるとの研究結果を併せて掲載しています。
「高齢者版」では、「成人版」の②に加え、
①長い床上時間(寝床で過ごす時間)は健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な時間を確保する
②長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中の長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす
――ことを推奨しています。
その上で、9時間以上の睡眠がアルツハイマー病の発症リスクを増加させる、という研究結果を紹介しています。
この機会に、自身やご家族のより良い睡眠について考えてみてはいかがでしょうか。
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