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健保法等改正法案を国会に提出

緊急事態宣言さらなる延長の中健保法等改正法案を国会に提出

 新型コロナウイルスの感染拡大で1月7日に緊急事態宣言が発令されました。
政府は当初の2月7日までの期限を、栃木県を除いた10都府県で3月7日まで1カ月間延長することを決めました。
この間、感染状況や医療提供体制が改善されれば期限を待たずに解除される可能性もあります。

 ワクチン接種など新型コロナ対策の行方が気になるところですが、政府は2月5日の閣議で、一定所得以上の後期高齢者(75歳以上)の医療費自己負担の2割引き上げなどを含む「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」の国会提出を決定しました。

 この法案には現役世代にも影響を与える改正が含まれています。
1つは「傷病手当金の支給期間の見直し」です。
健康保険の支給期間は支給開始日から起算して復職して不支給となる日を含めて最大1年6カ月ですが、今回の改正で治療と仕事の両立を図る観点から、共済組合と同様に実際に支給された日を通算して1年6カ月に統一されます。

 2つ目は「任意継続被保険者制度の見直し」。
任継被保険者の保険料は、退職前の標準報酬月額か全被保険者の平均標準報酬月額のいずれか低い額を適用することになっているため、健保組合の保険料収入が減る一方、高齢の退職者の給付が増えるため収支のアンバランスが問題視されていました。

 改正では健保組合が規約に定めることにより退職前の標準報酬月額とすることを可能とするほか、任継被保険者の資格喪失要件が緩和され、最大2年間の被保険者期間を維持するなかで、任継被保険者からの申請による資格喪失を認めることとしています。
その他にも育児休業中の保険料免除要件の見直しなどが含まれており、法案が成立すれば、2022年1月1日施行の予定です。

 改正案には加入者にとって、より良い改正と従来より厳しくなる改正がありますが、いずれも全世代対応型社会保障を目指した改革の第1歩であることは言うまでもありません。

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2021年03月03日

感染者急増で再び緊急事態宣言

感染者急増で再び緊急事態宣言
出生数に影響、加速する少子化

 政府は新型コロナウイルス感染者の急増で昨年末、年末年始を家で静かに過ごすよう国民に要請しましたが、1月に入っても増加に歯止めが掛かりません。
1月6日には全国の感染者数が6千人超と過去最多を更新。政府は7日、緊急事態宣言を再発令し、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県に飲食店への営業時間短縮要請などを決定しましたが、13日には11都府県に拡大しました。

 わが国の出生数は、女性の社会進出や晩婚化などで減少し続けていますが、新型コロナウイルスの感染拡大が出産を控える傾向に働き掛け、その結果、少子化が想定を超えて進んでいるようです。

 厚生労働省が昨年12月24日に公表した「令和2年度の妊娠届出数の状況」では、2020年1~10月の累計妊娠届出数は72万7千件で前年同期間の76万6千件と比較すると5.1%減、18年と19年の同期間の3.5%減よりも減少傾向が進んでいることが分かりました。
特に昨年4月に出された緊急事態宣言後の5月には前年同月比で17.6%減となるなど、妊娠数を大きく押し下げています。

 このままでは、長期にわたる経済の停滞のみならず、少子化にも拍車が掛かることが予想され、わが国の社会保障制度の将来に暗い影を落とします。
医療・年金・介護など社会保障制度は現役世代の負担により高齢者らを支えています。
今までは何とか持ちこたえてきましたが、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり始める2022年から、医療費が急増し、現役世代の負担が限界を超えることが確実視されており、医療保険制度が早晩崩壊すると危惧されています。

 政府も年齢ではなく所得に応じた負担に是正する「全世代型社会保障改革」を掲げますが、改革の緒に就いたばかりです。
1日も早い新型コロナの収束と現役世代の負担軽減が行われないと、生活への不安などから結婚や出産をためらい、さらに少子化が進む負のスパイラルに陥ることが憂慮されます。残された時間はもうないのです。

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2021年02月03日

医療保険制度を持続させるため

医療保険制度を持続させるため高齢者も所得相応の負担を

 新しい年を迎え、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。
本年も健保組合・健保連は、皆さんの健康維持・増進のための事業をはじめ、将来も安心して医療が受けられるよう医療保険制度改革の実施に向けた活動に精力的に取り組んでいきます。

 昨年は新型コロナの感染拡大により、医療や経済など国民生活が激変した年でした。
東京オリンピック・パラリンピックも1年延期されましたが、いまだ収束する気配はありません。
引き続き〝ウィズコロナ〟の下で3密を避ける生活を強いられることになりそうです。

 厚生労働省は昨年11月末、2018年度に医療機関に支払われた医療費(保険診療)の総額である国民医療費が約43.4兆円、国民1人当たりで34万円強――といずれも過去最高を更新したことを公表しました。
増大した理由は高齢化の進行と医療の高度化ですが、22年は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始めることから、医療費が急増し健保組合など保険者の財政が急速に悪化することが懸念されています。

 そのため、後期高齢者の医療費を負担している現役世代の保険料負担が過重にならないよう、後期高齢者の窓口負担に新たに2割負担を設け、一定以上の所得のある高齢者にも負担をしてもらうことが、政府の方針として決定しています。
昨年末、この所得の扱いが焦点となり一応の決着をみましたが、非課税世帯を除く幅広い世帯を対象にすべきというのが健保組合、健保連の主張です。

 さて、今年の干支は「辛丑(かのとうし)」。
辛は「ゆっくり衰退」「痛みを伴う幕引き」という意味が、丑は植物の芽が固い殻を破る「命の息吹」という意味があるそうです。
このことから、辛丑は古きことに悩みながらも終わりを告げ、新しい芽生えを見いだす年になるともいわれています。

 言葉の意味どおり、コロナ禍などによる閉塞的な現在の状況を打開し、痛みを伴う改革になるかもしれませんが、持続性のある医療保険制度の構築に向けて、新しいスタートを切りたいものです。

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2021年01月06日

コロナに翻弄(ほんろう)されたこの1年

コロナに翻弄(ほんろう)されたこの1年 待ってはくれない制度改革

 年の瀬が迫ってきました。
振り返ってみればここ数十年で、これほど人びとが翻弄された1年はなかったのではないでしょうか。
昨年末に「新型コロナウイルス感染症」が確認されて以来、世界中にまん延し、感染者数は5400万人を超えました。
わが国も感染者数は12万人を超え、収まる気配はありません(11月17日現在)。

 約百年前のインフルエンザ(スペイン風邪)以来の世界的感染は、私たちの生活を一変させました。
当時と異なるのは、5千万人とも1億人とも言われた死亡者数が、医学や衛生面での進歩によりはるかに少ないことです。

 わが国の経済も大きな打撃を受けましたが、政府の個人や経営者に対する給付金や「Go To トラベル」などの経済復興支援で秋口以降、徐々に経済活動が回り始めました。

 一方、これまでの生活が一変し、3密を避け、手洗い、うがい、消毒を心掛け、マスクをすることが新たな生活習慣となり、これに伴い、従来の仕事のあり方や価値観が大きく変わろうとしています。
すでにテレワークが浸透し始め、飲食店や小売店の業務にも〝ウィズコロナ〟の時代に合わせた感染防止の工夫がみられます。

 今回のコロナ禍では、わが国の企業や行政手続きなどにおけるデジタル化の遅れもあらわになりました。
政府はデジタル化の統合的な推進を目指して「デジタル庁」の創設や各種規制緩和を推し進めています。

 社会全体が大きく変わろうとしている中で、少子高齢化だけは変わることはありません。
少子化の進行は経済や社会を支える現役世代の減少に直結します。
また、2022年以降、後期高齢者数の増加により、医療費が急速に増大することが予想され、このままでは医療保険制度の崩壊につながります。
来年も厳しい状態が続くと予想されますが、政府には医療保険制度の安定した運営に向けて、待ったなしの姿勢で制度改革に取り組んでもらいたいものです。

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2020年12月02日

コロナ禍により進むデジタル化

コロナ禍により進むデジタル化 オンライン診療の恒久化も

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大で痛感したのは、わが国の企業や行政手続きなどにおけるデジタル化の遅れです。
私たちは普段の生活で、インターネットなどで金融機関口座の残高照会や振り込み、商品の購入や代金の支払いを行うなど、デジタル環境が生活の一部といえるほど身近な存在になっています。

 ところが、コロナ禍で、政府が国民の生活を支援するため、1人当たり10万円の現金給付を決定しましたが、マイナンバーカードによる電子申請では、市区町村が振り込み先の金融機関口座の確認などに手間取り、郵送による申請の方が早く振り込まれる(それでも入金までに1カ月程度かかった)などの混乱が生じたのは記憶に新しいところです。

 海外では、インターネットによる電子申請で数日以内に現金が振り込まれるなど、緊急時における対応の差がマスコミで盛んに報じられました。
電子立国で有名なエストニアなどでは国民に割り振った番号と金融機関口座が連動しており、それが素早く対応ができた理由です。

 今回の状況を重んじた政府は9月23日、デジタル化の推進に向け、菅義偉首相と全閣僚をメンバーとする「デジタル改革関係閣僚会議」を設置し、「デジタル庁」を創設するための検討を開始しました。
コロナ禍で社会が変容する中、喫緊に取り組む事項として、①マイナンバーカードのさらなる活用②迅速な給付の実現③国と地方を通じたデジタル基盤の構築――などを目指します。
医療関係では、すでに準備が進められているマイナンバーカードを健康保険証として活用することや現在、時限措置となっているオンライン診療を恒久化し、拡充していくことなどが含まれています。

 デジタル化の推進に当たっては、国民各層が分かりやすく使い勝手のよいインターフェース、個人情報等の漏えいに対する万全なセキュリティを備えたシステム構築がカギとなります。

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2020年11月04日

新型コロナ、ピークを過ぎても

新型コロナ、ピークを過ぎても社会保障や経済に深刻な影響

 10月は本来、気候的に過ごしやすく、レジャーやスポーツなどを行うのに最適な季節です。
健保組合・健保連は、健康づくりに関する各種事業の実施を通じて生活習慣病予防を周知する期間として、この月を「健康強調月間」と定め、加入者の健康保持・増進を図ることとしています。
さらに、超高齢社会において、元気なお年寄りに社会参加してもらうため、健康寿命の延伸につなげることを目的としています。

 それが新型コロナウイルスの感染拡大で一変してしまいました。
生活のあり方が大きく変わり、働き方ではテレワークの導入が進み、時差通勤、業務時間の短縮が常態になりつつあります。
日常生活でも3密(密閉、密集、密接)を避け、手洗いやうがい、消毒を心掛け、外出時にはマスクを着用することが常識となり、手軽に旅行に出かけたり、友人らと会食をすることなどに慎重になりました。

 政府の分科会は、7月下旬が感染のピーク、と分析しています。
確かに8月中旬以降、感染者数が減り始め、9月以降は1日当たりの感染者数が落ち着き始めています。
しかし、諸外国では感染者は増加し続けており、この状況は当面、収まりそうにないのをみると、予断を許しません。

 気になるのは、新型コロナ対策で投入された膨大な国庫(税金)です。
政府は4月20日、総額117.1兆円規模の「新型コロナウイルス緊急経済対策」を決定しました。
その財源の大半は新規国債の発行です。
国債は国の借金ですから、何らかの方法で返済していかなくてはなりません。
これに密接にかかわる日本経済は失速し、回復の見込みが立ちません。
一方、超高齢化に伴い社会保障制度は深刻な状況に陥っています。

 このような難問山積の中、安倍晋三首相は持病の悪化を理由に8月28日、辞任する意向を表明しました。
9月16日の臨時国会で、選出された菅義偉新首相が、これらの課題にどう対応していくのか、その手腕が問われるところです。

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2020年10月02日

新型コロナウイルス感染拡大の陰で

新型コロナウイルス感染拡大の陰で受診を控えて、重症化の懸念も

 新型コロナウイルスの感染者数は7月7日、全国で2万人を突破して以来、上昇の一途をたどっています。
1日に1千人を超える状況が続き、8月19日には累計5万8千人強と約3倍に増えました。
そのため、医療機関などへの入院者数が退院者数を大幅に超え、医師や看護師など医療従事者の疲弊が増すとともに経営にも暗い影を落としています。
また、医療施設の不足している島々などではクラスターが発生し、その対応に追われ、島民らの不安が増大しています。

 こうした状況を受けて、独自の緊急事態宣言を行う自治体も出てきました。
東京都の小池百合子知事も、お盆休みの旅行や帰省などを控えるように都民に呼びかけました。

 一方、政府は感染者の増加の実態を踏まえつつも、落ち込んだ経済の活性化に向け、「GO TO トラベル」(観光支援事業)を7月22日から実施しており、現状下で緊急事態宣言を再発令することには慎重な姿勢です。

 感染者数の急増の陰で、懸念されることが2つあります。
1つはウイルス感染を恐れるあまり医療機関への受診を控えているケースです。
特に持病のある人が受診を控えることで、かえって重症化を招く恐れもあります。
医療機関も3密を避ける体制ができていますので、事前に体温を測り予約してから受診するなど、必要以上に恐れず、我慢しないことが重症化を避ける上でも大切です。

 もう1つは、人間ドックなどの健診が受けられないことで、病気の早期発見が遅れ重症化を招く可能性があることです。
この春先から多くの医療機関や健診センターでは、ウイルス感染の防止を目的に健診の受付を中止している状況が続いています。

 こんなときこそ、体調管理をきちんと行い、適度な運動や栄養バランスに富んだ食生活を心掛けましょう。
幸い、健診の予約受付を再開する実施機関が出てきているのは朗報です。

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2020年09月01日

「新しい生活様式」で感染予防

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除(5月25日)、東京アラートの解除(6月11日)以降、感染者数は上昇に転じ、7月7日に全国で2万人を突破。
特に東京都では2日以降、3桁台で推移しています。感染経路として、近い距離で接客を行う夜間営業の飲食店関係者や客の間で感染者が増えている他、20〜30歳代の若い世代が多いことが分かっています。

東京都は15日、感染状況の警戒レベルを最高の「感染が拡大している」に引き上げ、小池百合子都知事も不要不急の他県への移動を控えるとともに、感染防止策が十分行われている店舗の利用などを呼び掛けました。
一方、政府は他県への移動を制限する状況にないとしています。

感染の第2波を懸念する声もありますが、今重要なのは新型コロナが終息したわけではなく、少しでも気を緩めると感染が再拡大するということと、従来のような生活に戻れるわけではないという事実を自覚することです。

では、今後どのように生活していけばよいのでしょうか。国は「新しい生活様式」の実践を提唱しています。
これは4つの項目からなり、1つ目は一人一人の基本的感染対策で、①身体的距離の確保②マスクの着用③手洗い―の3つの基本を守るとともに、不要不急の外出を控えること。
2つ目は日常生活を営む上での基本的感染対策で、手洗い・手指消毒の励行、3密の回避などを維持すること。
3つ目は日常生活の各場面別の感染対策で、買い物、娯楽・スポーツ等、公共交通機関の利用、食事、イベント等への参加などにおける感染対策。
最後の4つ目は働き方の新しいスタイルの提唱で、テレワークやローテーション勤務、時差通勤などの導入です(詳細は厚労省のホームページ:https://www.mhlw.go.jpで「新しい生活様式」で検索)。

従来の生活習慣と大きく変化するため、慣れるまで時間やストレスを感じるかもしれませんが、上手に取り入れたいものです。

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2020年08月05日