コロナ禍により進むデジタル化

コロナ禍により進むデジタル化 オンライン診療の恒久化も

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大で痛感したのは、わが国の企業や行政手続きなどにおけるデジタル化の遅れです。
私たちは普段の生活で、インターネットなどで金融機関口座の残高照会や振り込み、商品の購入や代金の支払いを行うなど、デジタル環境が生活の一部といえるほど身近な存在になっています。

 ところが、コロナ禍で、政府が国民の生活を支援するため、1人当たり10万円の現金給付を決定しましたが、マイナンバーカードによる電子申請では、市区町村が振り込み先の金融機関口座の確認などに手間取り、郵送による申請の方が早く振り込まれる(それでも入金までに1カ月程度かかった)などの混乱が生じたのは記憶に新しいところです。

 海外では、インターネットによる電子申請で数日以内に現金が振り込まれるなど、緊急時における対応の差がマスコミで盛んに報じられました。
電子立国で有名なエストニアなどでは国民に割り振った番号と金融機関口座が連動しており、それが素早く対応ができた理由です。

 今回の状況を重んじた政府は9月23日、デジタル化の推進に向け、菅義偉首相と全閣僚をメンバーとする「デジタル改革関係閣僚会議」を設置し、「デジタル庁」を創設するための検討を開始しました。
コロナ禍で社会が変容する中、喫緊に取り組む事項として、①マイナンバーカードのさらなる活用②迅速な給付の実現③国と地方を通じたデジタル基盤の構築――などを目指します。
医療関係では、すでに準備が進められているマイナンバーカードを健康保険証として活用することや現在、時限措置となっているオンライン診療を恒久化し、拡充していくことなどが含まれています。

 デジタル化の推進に当たっては、国民各層が分かりやすく使い勝手のよいインターフェース、個人情報等の漏えいに対する万全なセキュリティを備えたシステム構築がカギとなります。

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2020年11月04日