社会保障全体のDXを推進

全世代型社会保障の「議論の中間整理」公表
社会保障全体のDXを推進

 最近、「〇〇DX」という言葉を目にする機会が増えてきました。
このDXとはどういう意味で具体的に何を指すのでしょうか。

 DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略語で、デジタル技術を活用し、ビジネスはもちろん私たちの生活を、あらゆる面でより良いものに変化させることを意味しています。
DXの必要性が高まった大きな要因の一つに、今回の新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられます。

 長引く感染拡大により、わが国の働き方は大きく変わりました。
例えばテレワークの導入、WEB会議を用いた商談・打ち合わせ等のオンライン化は、その最たるものといえます。
新型コロナウイルスの感染が収まっても、このデジタル化の流れは後退することはないでしょう。

 5月17日、全世代型社会保障構築会議は議論の中間整理を公表しました。
この中で注目されるのは、「社会保障全体のDXを進めるべき」との記載です。
国民がより質の高い医療、介護等のサービスを享受できるように、患者のカルテの電子化・共有と活用が重要であるとし、具体的にはマイナンバーカードで利用できる健康データや電子カルテ情報等規格化されたデータの連携・活用に向けた環境整備などを掲げています。
この中間整理は、政府が6月7日に閣議決定した「骨太の方針2022」にも盛り込まれました。

 わが国の民間における規格の標準化の例として、各社の交通系カードが全国ほとんどの鉄道・バスで使えるようになったことで、利便性が高まりました。
ところが、医療の世界では各医療機関がシステムを構築しても、データを共有する共通の規格がないため、私たちは電子化のメリットが享受できない状況です。
最もDXが遅れている分野の一つといっても過言ではありません。

 中間整理と骨太の方針は、この実態に一石を投じたもので、少子高齢化が進む中、オンライン資格確認等の環境整備も含め、国民にとって利便性が高まるようDXの推進が期待されます。

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2022年07月05日