コロナで高齢者拠出金減少すれど

コロナで高齢者拠出金減少すれど健保組合財政は依然赤字基調

 今年のゴールデンウイークは新型コロナウイルスの感染が続く中で、3年ぶりに行動制限がなく、多くの人たちが久しぶりに帰省や国内外旅行に出掛けました。
観光地にも多くの人が訪れにぎわい、高速道路も大渋滞になるなど、家族サービスで疲れながらも、この連休を満喫した人は多かったのではないでしょうか。

 とはいっても、その後の新型コロナの感染は収まらず、日常生活では引き続きマスクの着用や手洗いの励行などの対策が必要です。
政府もコロナワクチンの3回目接種率の向上と並行して4回目接種の検討に入っています。

 この時期、気になる調査結果が公表されました。
一つは、毎年総務省が5月5日の「こどもの日」にちなんで公表する4月1日現在の15歳未満の子どもの数の推計です。
全国の子どもは1465万人で前年に比べ25万人少なく、1982年から41年連続の減少。
総人口に占める割合は11.7%で48年連続の低下です。
このことは将来の社会を支える働き手が減少していくという切実な問題を浮き彫りにしています。

 もう一つは、健保連が4月28日に公表した22年度健保組合予算の早期集計結果です。
同年度の経常収支は全体で2770億円の赤字で健保組合の約7割が赤字となる見通しです。
この中で高齢者医療への拠出金だけが前年より2080億円(5.7%)減っています。
これは2年前の新型コロナ感染拡大時に、高齢者の受診控えなどによる医療費減に伴う精算の影響によるもので、一時的かつ極めて異例なものです。

 来年度以降は、この拠出金減少の反動に加え、団塊世代の75歳到達などにより、高齢者医療への拠出金が急増することが予想され、急激な財政悪化が懸念されます。

 政府にとっては、少子化対策をいかに実効性のあるものにしていくのか、高齢者医療費の急増や医療保険制度存続の危機にどう対応していくのか、待ったなしの状況が続きます。

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2022年06月02日