健保組合全体で3782億円の経常赤字

健保連は4月23日、2025年度の健康保険組合予算早期集計の結果を公表しました。
それによると、健保組合全体で経常収支差引額は3782億円の赤字となり、約8割の組合が赤字となる見通しです。

 経常収入の大半を占める保険料収入は、被保険者数の堅調な伸びと賃金の引き上げ効果を反映して、対前年度予算比で3829億円(4.3%)増の9兆2685億円と伸びたものの、加入者の医療費に当たる保険給付費や高齢者医療への拠出金が増加した影響により経常支出は同1078億円(1.1%)増の9兆7717億円となりました。
この結果、経常収支で大きな赤字となり、健保組合の平均保険料率は過去最高の9.34%となりました。

団塊の世代が全て後期高齢者となる「2025年」を迎え、同拠出金のうち後期高齢者支援金は同2.5%増の2兆3353億円となり、現役世代の負担として重くのしかかっています。

 この危機的状況を乗り越えるためには、医療費適正化を推進するだけでなく健保組合の加入者、ひいては国民の皆さんに、
①医療費の仕組みや国民皆保険制度の厳しい状況についてもっと知ってもらうこと
②自分自身で健康を守る意識をもってもらうこと
③軽度な身体の不調は自分で手当てするセルフメディケーションを心がけること
など従来の意識や行動を変えてもらうことも重要になってきます。

 健保組合においても、こうした変革の後押しに向けて、
①各種健診を受診しやすくするため、こまめに働きかけを行う
②一人ひとりの健康状態に合わせた丁寧な保健指導を実施する
③予防・健康づくりに役立つ情報を提供する
④職場環境に応じた予防・健康づくりへの取り組み
などを推進していく必要があります。

さらに、健保組合が多様な働き方に対応した保健事業の充実強化、データ分析強化による加入者サービスの充実、デジタル化による健保組合業務革新などの先進的な取り組みにチャレンジしていくことも求められてきます。

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2025年06月02日