感染者急増で再び緊急事態宣言

感染者急増で再び緊急事態宣言
出生数に影響、加速する少子化

 政府は新型コロナウイルス感染者の急増で昨年末、年末年始を家で静かに過ごすよう国民に要請しましたが、1月に入っても増加に歯止めが掛かりません。
1月6日には全国の感染者数が6千人超と過去最多を更新。政府は7日、緊急事態宣言を再発令し、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県に飲食店への営業時間短縮要請などを決定しましたが、13日には11都府県に拡大しました。

 わが国の出生数は、女性の社会進出や晩婚化などで減少し続けていますが、新型コロナウイルスの感染拡大が出産を控える傾向に働き掛け、その結果、少子化が想定を超えて進んでいるようです。

 厚生労働省が昨年12月24日に公表した「令和2年度の妊娠届出数の状況」では、2020年1~10月の累計妊娠届出数は72万7千件で前年同期間の76万6千件と比較すると5.1%減、18年と19年の同期間の3.5%減よりも減少傾向が進んでいることが分かりました。
特に昨年4月に出された緊急事態宣言後の5月には前年同月比で17.6%減となるなど、妊娠数を大きく押し下げています。

 このままでは、長期にわたる経済の停滞のみならず、少子化にも拍車が掛かることが予想され、わが国の社会保障制度の将来に暗い影を落とします。
医療・年金・介護など社会保障制度は現役世代の負担により高齢者らを支えています。
今までは何とか持ちこたえてきましたが、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり始める2022年から、医療費が急増し、現役世代の負担が限界を超えることが確実視されており、医療保険制度が早晩崩壊すると危惧されています。

 政府も年齢ではなく所得に応じた負担に是正する「全世代型社会保障改革」を掲げますが、改革の緒に就いたばかりです。
1日も早い新型コロナの収束と現役世代の負担軽減が行われないと、生活への不安などから結婚や出産をためらい、さらに少子化が進む負のスパイラルに陥ることが憂慮されます。残された時間はもうないのです。

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2021年02月03日