24年度健保組合予算編成状況を公表
24年度健保組合予算編成状況を公表
6千500億円超の経常赤字
健保連は4月23日、2024年度健康保険組合予算編成状況(早期集計結果)を公表しました。
今年度の予算編成における全健保組合の経常収支差引額は、推計で前年度の5621億円を超える6578億円の赤字となる見通しで、予算ベースで過去2番目の規模となります。
被保険者数の堅調な伸びと賃金引き上げなどにより保険料収入は対前年度比4・5%、3811億円増えたものの、新型コロナ感染拡大下での医療費の高い伸びや高齢者医療への拠出金の増加などが赤字の主な要因。
特に団塊の世代が75歳に到達し始めた影響で、拠出金が前年度より4・6%(1701億円)増の3兆9千億円弱となりました。
今後も、高齢化の進展に伴い拠出金が増え続けることが懸念されています。
一方、政府が掲げる「こども未来戦略・加速化プラン」に盛り込まれた施策の実行に向けた改正法案などが国会で審議されていますが、注目されるのが「子ども・子育て支援金制度」の創設。
これは少子化対策のさまざまな施策の財源の一部を医療保険制度の保険料に、上乗せして拠出する仕組みです。
少子化対策は国を挙げて取り組むべき重要課題ですが、増加の一途をたどる現役世代の負担が過重にならないよう、歳出改革で社会保険負担が確実に軽減されないと絵に描いた餅になりかねない危うさがあります。
わが国にとって、国民皆保険制度の維持と少子化対策は欠くことができない車の両輪の関係にありますが、まずは人口構造や社会環境の変化に対応し、医療保険制度の持続可能性を高めるため、これまでにない抜本的な改革を行うことが待ったなしの状況です。
全世代で医療費を公平に負担する仕組みの構築を進めるだけでなく、医療DXの推進等により、国民にとって安全・安心で効率的・効果的な医療を実現することも不可欠です。
現役世代が、将来への希望を持てる施策が実行されることを期待します。
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