全世代型社会保障制度の議論始まる
全世代型社会保障制度の議論始まる 年末までが見直し議論の山場
10月から、食料品や日用品の相次ぐ値上げラッシュに、財布のひもを固くする人も多いのではないでしょうか。
長引くコロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻が世界経済にもたらす影響の大きさを見せつけられた気がします。
一方、同月から現役並み所得者を除く75歳以上の一定以上の所得がある人の医療機関の窓口負担が従来の1割から2割に引き上げられ、また、パートなど短時間労働者の被用者保険への適用拡大など、医療や年金の制度改正が行われました。
その背景を象徴する統計データも立て続けに公表されました。9月16日の「2021(令和3)年度医療費の動向」では、医療保険などの概算医療費が前年度比4・6%増の44・2兆円と、新型コロナ感染症の影響による患者の受診控えで同3・1%減少した20年度の概算医療費の反動などで、過去最大の増加率・額となったことが明らかに。
同日は、21年度の人口動態統計の確定数も公表され、女性が生涯に産む子どもの平均数を示す合計特殊出生率が前年から0・03ポイント減の1・30で6年連続の低下と、確実に少子化が進んでいることが浮き彫りになりました。
一方、総務省が18日に公表した65歳以上の高齢者数は3627万人と過去最多で、総人口の29・1%を占め、国際比較でもわが国が最も高い比率であることが分かりました。
こうした状況を踏まえ、政府の「全世代型社会保障構築会議」は9月から本格的に議論を開始しました。
既に2回の会合を経て今後、「子ども・子育て支援の充実」「医療・介護制度の改革」「働き方に中立な社会保障制度等の構築」の3テーマを中心に議論を重ね、年末に向けて報告を得る方針です。関連する他の審議会などでも本格的な議論が始まっています。
議論の結果に基づき24年に予定されている法律改正のスケジュールなどを考慮すると、まさに年末までが制度見直し議論の山場といえます。
【コラムは無断転載禁止】