未来を見据えた制度の構築を
「かかりつけ医」の推進・制度化など未来を見据えた制度の構築を
謹んで新春のごあいさつを申し上げます。
本年も健保組合・健保連は、皆さんの健康維持・増進のための事業をはじめ、将来も安心して医療が受けられる医療保険制度の実現に向けた活動に取り組んでいきます。
厚生労働省は昨年11月、2019年度に医療機関に支払われた医療費の総額である国民医療費が約44・4兆円、国民1人当たりで35万円強――といずれも過去最高を更新したことを公表しました。
増大した主な理由は高齢化の進行と医療の高度化によるものですが、65歳以上の医療費は27・6兆円と全体の6割強を占めています。
今年から団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始めることから、医療費が急増し、現役世代の負担が急速に増えることが懸念されています。
そのため、後期高齢者の窓口負担に新たに2割負担を設け、一定以上の所得のある高齢者に相応の負担をしてもらうことが決定していますが、限定的な範囲にとどまっており、これだけでは不十分であり再検討が必要です。
また、今回のコロナ禍での経験を生かし、国民が身近で安心して受診できる「かかりつけ医」の推進・制度化を含め、現在の社会保障制度をあらゆる面から検証・見直し、安定した持続性のある仕組みを早急に構築していく必要もあります。
さて、今年の干支は「壬寅(みずのえとら)」。壬には「陽気を孕(はら)み」、寅には「春の胎動を助く」という意味があり、厳しい冬を越えて春の芽吹きは生命力に溢れ、新しい成長の礎となるイメージだそうです。
この2年間、コロナ禍で普通の生活を謳歌(おうか)できず、息苦しい状況にありました。
幸いにもわが国では昨秋から新型コロナ感染者数が激減し、新規感染者数も低い数値で推移していますが、新たな変異株が確認されるなど当面は予断を許しません。
干支の意味するとおり、1日でも早くコロナ禍による閉塞(へいそく)的な現状が打開され、少子高齢社会の未来を見据えた医療保険制度の構築に向けて、大きく踏み出したいものです。
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