コロナ禍で進んだデジタル活用

コロナ禍で進んだデジタル活用
高齢者の日常生活に深く浸透

 わが国の総人口(1億2495万人、2022年10月1日現在)に占める65歳以上人口は3624万人で、総人口に占める割合(高齢化率)は29・0%です。
将来推計では70年には2・6人に1人が65歳以上になる見込みです。

 当然、年金・医療・介護など社会保障に係る費用が増大し続けるという深刻な課題はありますが、少子化の中で医療・介護の効率性をICT技術の活用で高めながら、人口の多くを占める高齢者の生活に沿った社会環境を構築していくこともこれからの重要な課題です。

 こうした高齢者の暮らしの動向について興味深い調査がこのほど政府から公表されました。23年版「高齢社会白書」です。
それによると、コロナ禍前に比べ、情報収集にインターネットを活用する、携帯電話・スマートフォンで家族や友人などと連絡をとる高齢者が増えたことが分かりました。

 過去の政府調査との比較で、コロナ禍の影響によるコミュニケーションの変化については、「人と直接会ってコミュニケーションをとることが減った」が6割超、そのうち約3割が「直接会わずにコミュニケーションをとることが増えた」と回答しています。

具体的手段としては「携帯電話・スマートフォンで家族・友人などと連絡をとる(メールを含む)」が政府の15年調査と比較して7・1ポイント増の75・7%です。
「健康・医療に関する情報収集にインターネットを活用する」は同17年調査時よりも30・2ポイント増の50・2%と大きく増えています。

 AIの活用といった技術革新が進む中、今後ますますデジタル技術が高齢者の生活の中に広がっていくことは必須です。
一方、こうした環境になじめず、利用していない高齢者も一定数実在します。
高齢者にも分かりやすく手軽に利用できるデジタル機器の開発や現行のシステムの環境整備が今求められています。

【コラムは無断転載禁止】

2023年09月05日