予防可能ながんの経済的負担1兆円超
予防可能ながんの経済的負担1兆円超
検診や生活改善で負担の軽減も
10月は、人間ドックや健診などを受診する人が多い時期の1つといわれています。
また、同月は健保連・健保組合主催の「健康強調月間」の他、国が主体の「がん検診受診率向上に向けた集中キャンペーン月間」や「がん対策推進企業アクション」など多彩な催しが行われます。
がんは、1981年にわが国の死因第1位となって以降、その罹患(りかん)者数は2019年で約100万人、死亡者数は21年で約38万人と増加傾向にあります。
こうした実態にもかかわらず、わが国のがん検診は、諸外国に比べて受診率が低く、特に女性では30~40%台で推移しており、政府の第3期がん対策推進基本計画の目標値である検診受診率50%以上とは大きな開きがあります。
このほど、日本人の予防可能なリスク要因に起因するがんの経済的負担が1兆円を超えるという推計が公表されました。
推計したのは国立がん研究センター、国立国際医療研究センターの2機関。
がんによる総経済的負担は約2兆8597億円(男性約1兆4946億円、女性約1兆3651億円)と推計されています。
このうち生活習慣や環境要因など予防可能なリスクの軽減に適切に努めれば、命を救うだけでなく1兆240億円の経済的負担を減らせる可能性があるという興味深い内容です。
個別にみると、男女とも胃がんの経済的負担が最も多く(男性約1393億円、女性約728億円)、次いで男性は肺がん(約1276億円)、女性は子宮頸(けい)がん(約640億円)の順です。
リスク要因別の経済的負担は「感染」によるものが約4788億円と最も高く、これに「能動喫煙」「飲酒」「運動不足」「過体重」が続きます。
検診等を定期的に受診することや生活習慣の改善に取り組むことは、ご自身やご家族の健康を守るだけでなく、経済的負担の軽減にもつながるという面にも目を向けてもらいたいと思います。
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