医療保険制度を持続させるため

医療保険制度を持続させるため高齢者も所得相応の負担を

 新しい年を迎え、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。
本年も健保組合・健保連は、皆さんの健康維持・増進のための事業をはじめ、将来も安心して医療が受けられるよう医療保険制度改革の実施に向けた活動に精力的に取り組んでいきます。

 昨年は新型コロナの感染拡大により、医療や経済など国民生活が激変した年でした。
東京オリンピック・パラリンピックも1年延期されましたが、いまだ収束する気配はありません。
引き続き〝ウィズコロナ〟の下で3密を避ける生活を強いられることになりそうです。

 厚生労働省は昨年11月末、2018年度に医療機関に支払われた医療費(保険診療)の総額である国民医療費が約43.4兆円、国民1人当たりで34万円強――といずれも過去最高を更新したことを公表しました。
増大した理由は高齢化の進行と医療の高度化ですが、22年は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始めることから、医療費が急増し健保組合など保険者の財政が急速に悪化することが懸念されています。

 そのため、後期高齢者の医療費を負担している現役世代の保険料負担が過重にならないよう、後期高齢者の窓口負担に新たに2割負担を設け、一定以上の所得のある高齢者にも負担をしてもらうことが、政府の方針として決定しています。
昨年末、この所得の扱いが焦点となり一応の決着をみましたが、非課税世帯を除く幅広い世帯を対象にすべきというのが健保組合、健保連の主張です。

 さて、今年の干支は「辛丑(かのとうし)」。
辛は「ゆっくり衰退」「痛みを伴う幕引き」という意味が、丑は植物の芽が固い殻を破る「命の息吹」という意味があるそうです。
このことから、辛丑は古きことに悩みながらも終わりを告げ、新しい芽生えを見いだす年になるともいわれています。

 言葉の意味どおり、コロナ禍などによる閉塞的な現在の状況を打開し、痛みを伴う改革になるかもしれませんが、持続性のある医療保険制度の構築に向けて、新しいスタートを切りたいものです。

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2021年01月06日