コロナに翻弄(ほんろう)されたこの1年

コロナに翻弄(ほんろう)されたこの1年 待ってはくれない制度改革

 年の瀬が迫ってきました。
振り返ってみればここ数十年で、これほど人びとが翻弄された1年はなかったのではないでしょうか。
昨年末に「新型コロナウイルス感染症」が確認されて以来、世界中にまん延し、感染者数は5400万人を超えました。
わが国も感染者数は12万人を超え、収まる気配はありません(11月17日現在)。

 約百年前のインフルエンザ(スペイン風邪)以来の世界的感染は、私たちの生活を一変させました。
当時と異なるのは、5千万人とも1億人とも言われた死亡者数が、医学や衛生面での進歩によりはるかに少ないことです。

 わが国の経済も大きな打撃を受けましたが、政府の個人や経営者に対する給付金や「Go To トラベル」などの経済復興支援で秋口以降、徐々に経済活動が回り始めました。

 一方、これまでの生活が一変し、3密を避け、手洗い、うがい、消毒を心掛け、マスクをすることが新たな生活習慣となり、これに伴い、従来の仕事のあり方や価値観が大きく変わろうとしています。
すでにテレワークが浸透し始め、飲食店や小売店の業務にも〝ウィズコロナ〟の時代に合わせた感染防止の工夫がみられます。

 今回のコロナ禍では、わが国の企業や行政手続きなどにおけるデジタル化の遅れもあらわになりました。
政府はデジタル化の統合的な推進を目指して「デジタル庁」の創設や各種規制緩和を推し進めています。

 社会全体が大きく変わろうとしている中で、少子高齢化だけは変わることはありません。
少子化の進行は経済や社会を支える現役世代の減少に直結します。
また、2022年以降、後期高齢者数の増加により、医療費が急速に増大することが予想され、このままでは医療保険制度の崩壊につながります。
来年も厳しい状態が続くと予想されますが、政府には医療保険制度の安定した運営に向けて、待ったなしの姿勢で制度改革に取り組んでもらいたいものです。

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2020年12月02日