新型コロナによる経済停滞で

新型コロナによる経済停滞で健保組合の約8割が赤字を計上

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。
特に関西圏を中心に感染が拡大。
その背景には感染力の強い変異株の増大や「自粛疲れ」の反動による繁華街での人出の増加があります。

 政府は4月1日、大阪、兵庫、宮城の3府県を対象にまん延防止等重点措置を初適用し、各府県内の感染が拡大している市を適用地域として4月5日から5月5日までの実施を決定しました。
同措置は、国民生活や経済活動に大きな影響を与える緊急事態宣言を回避するための措置ですが、変異株の勢いは衰えず、重点措置の地域を拡大。
この状況下に政府は23日、感染状況が深刻な東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に3度目の緊急事態宣言を発令、さらに愛知、福岡に加え北海道、岡山、広島の1道4県に拡大、5月末まで延長せざるを得ませんでした。

 緊急事態宣言前日の22日、健保連は21年度の健保組合の予算早期集計結果を公表。
全健保組合の約8割が赤字予算で、その額はトータルで5千億円超です。
収支均衡に必要な財源を賄うための実質保険料率は初めて10%超となり、保険料に占める高齢者医療への拠出金の割合が50%超の健保組合が全体の4分の1を超えました。

 今回の赤字は、新型コロナウイルスの影響による休業や時短などで保険料収入の原資となる報酬が前年度比で2167憶円(2.6%)も減少したことと、支出で高齢者医療への拠出金、特に75歳未満の前期高齢者の拠出金(納付金)が前年度比で約1千億円(6.5%)増の約1兆6500億円に膨れ上がったことが大きな要因です。

 この結果、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2022年以降、拠出金の急増が懸念される「2022年危機」問題ですが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う財政悪化で、1年早く到来すると見られています。

 今国会に上程されている世代間の負担の公平と現役世代の負担軽減を図る健保法等改正法案の早期成立と一刻も早い法律の施行が望まれます。

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2021年06月03日