進む医療の高度化
進む医療の高度化
医療保険制度の持続可能性を
近年、がんや難病の治療に再生医療等製品や遺伝子治療薬など、新たな技術を用いた治療法が登場しています。
今年に入ってからも、筋ジストロフィーの遺伝子治療薬やiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った心筋シートの保険収載がニュースでも注目を集めました。
このような治療は、用いられる医薬品等の開発に多額の費用を要することから、1回当たり数千万円~数億円に及ぶものもあります。
これまで治療薬がなかった疾患や難病への治療の選択肢が増えることは、患者や家族に希望をもたらす一方で、費用負担への不安を感じる人も少なくありません。
日本には医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた分が、健保組合などの医療保険者から払い戻される「高額療養費制度」があります。
「突然の入院や手術、高額な薬の使用で医療費が支払えるか不安だったけれど、健保組合のおかげで助かった」という声にもあるように、高額療養費制度は、誰もが必要な医療を受けられるよう支えるセーフティーネットです。
他方、高額療養費の支給金額は、2011年度に2兆円を超え22年度には約3兆円に達しています。
このほど健保連が公表した、25年度における健保組合の1カ月当たり1000万円以上の高額な医療費の状況をみると、件数は16年度から10年間で約6倍に増えていました。
また、上位100位にみられた疾患は、16年度は心臓手術や循環器系疾患、血友病が主体でしたが、25年度はがんや先天性の難病など高額薬剤を使用する疾患に変化していました。
ただ、超高額で使用頻度の低い薬よりも、やや高額な薬が長期間にわたり継続使用されるケースが増加する傾向もみられ、医療保険財政を圧迫する要因になっています。
この貴重なセーフティーネットを将来世代へ引き継いでいくためには、医療保険財政が直面する現状を国民全体で共有し、持続可能な制度のあり方を考えていくことが求められています。
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